古い食器の間から
数年前に逝ってしまった祖母が結婚したのは、大正7年のこと。
家は、かつて旅館だったところだそうで、屋根の形、窓の装飾、どれもかなり素敵で、
一日中だっていられそうな気がする。
先日、あちらの親戚と共に祖母の家から食器などを分けて頂いてきた。
曽祖父が結婚に合わせて食器類を誂えたのだそう。
10人、20人と揃いの食器は、当時の人たちがどれだけ沢山の方を
もてなさなければいけなかったのかと そんな風に思う。
陶器も漆も、綺麗にふいていくたびに、
「ようこそ」「たっぷり使わせていただくからね」と、そんな気分になる。
沢山の食器類は、その時代ごとの布やチラシ、新聞などが入っていて、
ズロースなんて名前が出てきて、時代を感じる。
昭和20~30年代の朝日新聞は、今よりずっとフォントが小さく情報が詰まっている。
個人的にはそちらの方が情報量が多くて好きだなあ。と思いつつ、
戦中・戦後、若い人の方が多い時代なのだと胸が痛む。
今のように老眼を患う方を思う必要がなかったのだろうと、そう思う。
そんなことを考えながら、黙々と食器のお手入れなどをしていると、
ちょっと毛色の違う紙が数枚出てきた。
おそらく、旅館だったころの紙が残っていてのものなんだけれど、
右側に「宿泊人届」と書かれている。
その下に宿の名前があって、
中心部は上から順に到着日時、出発日時、職業、族籍、住所、特徴、氏名・年齢の欄。
全部で4枚出てきたのだけれど、特徴を書いているものはない(面倒よね、それは)
面白いのは族籍で、これは士族・平民と書かれている。
今ではすっかりなくなってしまったもの。
職業は、「ノ(多分農の意味)」とか、「材木」などが書かれている。
これは大正12年の届け。
今から94年前のもの。
きっと今はもういらっしゃらない方々の足跡を見て、当時の日本は今と随分違うと
しみじみとする。
今、士族なんて特に大きな意味がない。
こんな沢山のお皿もそうそう使うことがない。
100年近くたつと世の中はこんなにも変わってしまう。
頂いた食器たちは昔も今も変わらないはず。
大事に大事に使おうと思う。
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番組の配信も遅いし、ブログの更新も遅い。。。のですが、
番組内容の補足は以下で行っています。